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アルミ箔の世界 HOME > アルミ箔こんな所で大活躍 >こぼれ話・耳より情報:アルミ箔を使ったアート展を訪ねて-1
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こぼれ話・耳より情報:アルミ箔を使ったアート展を訪ねて-1

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「白と黒のシンプルで明解な世界、表意図学的な線による緻密な構成、それでいて環境デザインとしても成立する、ダイナミックな空間の広がりを持つ独特のリズム感――思わず「視覚音楽」という言葉が浮かんだ‥‥」
著名な陶芸作家の藤原郁三氏が、このような表現で紹介するアート展が、陶器の里、栃木県益子町のギャラリーで開かれ、その作品に個性的な表情を与えているのがアルミ箔と聞き、これは是非とも見学しなければと勇躍訪ねることにしました。
古い民家を改装して2004年9月にオープンしたという「Kyohan six gallery」は、地元窯元による陶器の共販センターの隣にあり、白壁の外観に風格を漂わせています。

引き戸を開けて入ると、内部は黒い床以外はすべて白一色。そこに白と黒のモノトーンを基調とした半立体のキャンバス作品大小41点と、6点の飾り台作品が展示され、静謐な雰囲気を醸し出していました。

個展の主、羽石知代さんが笑顔で迎えてくださいました。
お話を聞く前に、先ずは作品を鑑賞。

取材中にも若い人がギャラリーを訪ね鑑賞。
ちなみに、個展のタイトルにある「エスキース」とは、「アーティストの想像力が生んだインスピレーションを下描きとして定着させ、作品完成に向けて探求する途中のスケッチ」といった意味の美術用語(英・仏)です。
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1 は、「MUSICA RICERCATA」(音楽の探究/ピアノ曲の題名から)と題する、今回の個展の代表作。<90×90cm>
2 ~ 4 は、和風な要素を意識したという連作の3点です。<30×30cm>
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羽石さんに、作品の解説とそこに込めた思いを聞きました。

「今回の作品は、スケール(目盛り)、ライン、グラデーション(明暗の移行)、リボンの4つの基本パターンを一定の規則に従って連続させていき、結果的に出現する幾何学的な造形を表現したものです。それをコンピュータではなく、あくまでも手作業で行うことで規則外の形が入り込み、一見無機質な中に人間的な手触りや温もり、面白味も生まれてくることがわかりました」

「この手法は、イタリアで活動していた2006年から始め、翌年日本に帰ってからは素材にアルミ箔を加え、イメージの幅を広げることができました。しかも平面だけでなく厚みのある層を重ねることで、視覚的な効果を高めるよう試みています」

「アルミ箔は、作品の置かれた空間の色や鑑賞者の服の色、動きを鈍く反射し反応します。つまり環境に応じて、鑑賞者と対話しながら表情を変えていき、調和のある空間を生み出します。人が、生活の中に好きな家具や花を置き、音楽を聴いて楽しむように、作品がインテリアの一つとして個性的な空間を作るきっかけになってくれればと思っています。
アルミ箔は、金や銀の箔とともに舞台美術に多用されている材料で、私の作品コンセプトに活かせる素材としてごく自然に使うようになりました」

作品の制作プロセス
作品は、パネル(圧縮材)にアクリル絵の具で彩色し、その上から必要な部分にアルミ箔(工芸用)を張り合わせ、最後に透明のアクリルで表面を保護するという手順で制作されます。
羽石知代(はねいし・ともよ)さんのプロフィール
羽石知代さん
1979年、栃木県宇都宮市生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。イタリア留学・私立ローマ美術学校卒業(舞台美術)。卒後、ローマで舞台美術制作。2006年からイタリア(ローマ)、日本で空間演出をテーマにした作品を個展、作品展で発表。2007年、宇都宮東武百貨店「絵画イベント」、箱根彫刻の森美術館内<Art On Music>ほか「彫刻家からの贈り物」展。2008年、ギャラリー悠日個展、栃木県益子シックスギャラリー個展。日本とイタリアで活動中。
(2008年6月現在)
「いまは、今回の個展のテーマになっている、人と作品と空間とが互いに関係し合い溶け合って、独自の環境空間を生む、そんなきっかけとなる作品を目指し、コツコツと自分の世界を探しています。将来は、やはり総合的な環境演出の集大成でもある舞台美術を、この手で作り上げてみたいですね。遠い夢かもしれないですが‥」そう言って、瞳を輝かせる羽石さんでした。
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