羽石さんに、作品の解説とそこに込めた思いを聞きました。
「今回の作品は、スケール(目盛り)、ライン、グラデーション(明暗の移行)、リボンの4つの基本パターンを一定の規則に従って連続させていき、結果的に出現する幾何学的な造形を表現したものです。それをコンピュータではなく、あくまでも手作業で行うことで規則外の形が入り込み、一見無機質な中に人間的な手触りや温もり、面白味も生まれてくることがわかりました」
「この手法は、イタリアで活動していた2006年から始め、翌年日本に帰ってからは素材にアルミ箔を加え、イメージの幅を広げることができました。しかも平面だけでなく厚みのある層を重ねることで、視覚的な効果を高めるよう試みています」
「アルミ箔は、作品の置かれた空間の色や鑑賞者の服の色、動きを鈍く反射し反応します。つまり環境に応じて、鑑賞者と対話しながら表情を変えていき、調和のある空間を生み出します。人が、生活の中に好きな家具や花を置き、音楽を聴いて楽しむように、作品がインテリアの一つとして個性的な空間を作るきっかけになってくれればと思っています。
アルミ箔は、金や銀の箔とともに舞台美術に多用されている材料で、私の作品コンセプトに活かせる素材としてごく自然に使うようになりました」 |