最近のマスコミへの対応について

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ニュースリリース「産経新聞社記事について」(平成16年4月21日)
ニュースリリース「文藝春秋社『週刊文春』記事について」(平成16年4月7日)


ニュースリリース
産経新聞社記事について(平成16年4月21日)

 平成16年1月7日『産経新聞』中の記事「体のミネラル測定します」において、アルミニウムを水銀、鉛、ヒ素、カドミウムと同列の有害なミネラルとして取り扱っていることに対し、これまで幾度か文書と面談により、問題点を指摘して産経新聞社に記事の訂正と見解を求めてきました。
 しかしながら、同社では「面談時に回答した通り」とするばかりで、当方からの事実誤認の指摘(根拠とする資料の誤認)に対する見解は何ら示しておりません。それにもかかわらず「誠意を持って対応している」とする同社の姿勢は全く理解できません。

 ここに当会と産経新聞社とのやりとりの経緯を以下に示し、各位に当会の見解を公開するものです。
経緯  
平成16年1月7日 「体のミネラル測定します」において、毛髪検査を行っている「ら・べるびぃ(株)」を紹介。見出しに「有害な水銀、アルミニウム・・・必須のナトリウム、カリウム・・・」とし、アルミニウムを水銀、鉛、ヒ素、カドミウムと同列に有害ミネラルと分類した表を掲載した。
1月7日 この記事に関して文化部次長と記者と面談し、あわせて次の理由で訂正記事掲載を求める文書を手渡した。
アルミニウムを有害金属にすることは誤りで、読者の判断を間違わせる記事である。すなわち、健康や生態系に有害なおそれのある物質に適用されるPRTR制度(Pollutant Release and Transfer Register)には水銀、ヒ素、カドミウム、鉛はあるが、アルミニウムを有害な物質としてリストにあげておらず、また世界保健機構(WHO)でも有害物質としていない。
文化部次長および記者はこの時、アルミニウムが有害と判断した理由として<アルミニウムを発癌性ありとしたIARC(International Agency for Research on Cancer:国際癌研究機関)の翻訳資料>を提示し、単にインタビューのみではなく裏づけは取っていると断言した。
1月15日 代表取締役社長清原氏に正式回答を求める文書を送付した。
1月26日 文化部長より面談時と同様に「“訂正する必要ない記事”の判断と同じ」と文書回答があった。
2月 2日 文化部部長と面談。1月7日産経新聞から提出されたアルミニウムを有害ミネラルとする裏付け資料「アルミニウムを発癌性ありとしたIARC翻訳資料」について、IARCにはこのような資料がないことを指摘した。この資料について産経新聞も調査し、2月6日までに回答するとの返事があった。
2月 9日 文化部次長から電話にて回答があった。
(1)資料は取材先の「ら・べるびぃ(株)」から入手した。
(2)IARCのホームページにAluminium Productionとあり、アルミニウム製品は発癌性がある。
この回答はとても誠実な回答とは考えられない。理由は
(1) 1/7には単に「ら・べるびぃ(株)」のインタビューのみではなく、記者は裏付けを取って記事を書いたと断言した。
ところが裏付け資料は「ら・べるびぃ(株)」が提供した誤訳資料であった。
(2) 又、IARCの記載内容を調べることもせず、「ら・べるびぃ(株)」が誤訳した
Aluminium Productionをそのままアルミニウム製品と認識し、再度回答している。
(参考)
IARCの言うAluminium Production とはアルミニウム生産(製錬)であり、1950年代から1960年代の間に、製錬の製造工程で使用されたタールやベンゼン等により、プラントで働くワーカーの癌発生率が高いことをレポートした内容であり、アルミニウム製品とは全く異なる。
2月10日 代表取締役社長清原氏宛に、誠意のない対応について強く遺憾の意を表明し、再度、見解と訂正記事の掲載を求める文書を送付した。
3月25日 2月10日付け送付文書の回答がないため、これまでの経緯を示し、産経新聞社の見解を求める文書を改めて代表取締役社長清原氏宛に送付した。
4月1日 産経新聞社から誠意を持って対応しているとの文書があったものの、当会から求めている見解の提示はなかった。
 以上のような経緯ですが、誤った入手情報をそのまま使用し、アルミニウムを有害ミネラルとして記事を掲載したのにもかかわらず、当会からの申し入れに誠意のある対応をしていただいておりません。

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ニュースリリース
文藝春秋社『週刊文春』記事について	(平成16年4月7日)

 先般発行された『週刊文春』10月16日号136ページ掲載の「私が、答えます」において、筆者・竹内久美子氏は、アルミニウムがアルツハイマー病の原因の1つであるとしております。
 これは、公的機関の見解や最新の研究動向を踏まえていない、一部の仮説のみに依拠した偏った記事であり、当協議会では文藝春秋社に対し、問題箇所を具体的に指摘した上で、記事訂正の申し入れを行いました。
 文藝春秋社側からは、「重大な事実誤認とは考えず、訂正は行なわない」との回答であり、当協議会としては全く満足できるものではありませんが、数度の交渉を行なう中で以下の確約を得ましたので、収束することと致しました。
1.公正さを欠いたかもしれないとの執筆者の言葉に基づき、読者欄に当会の意見を掲載する。(3月11日号に掲載)
2.今後アルミニウムと健康に関する記事を掲載する場合は、当会を取材するなど、偏ることなく幅広く取材を行う。
 また、当該記事の質問者が読んだという医学書『ホームメディカル 家庭医学大百科』(永岡書店発行)に対して、当協議会より問題点を指摘し訂正を求めたところ、改訂時に訂正するとの回答を得ておりますので、併せて報告申し上げます。


 『週刊文春』記事の問題点と当協議会の見解は、以下の通りです。
1. アルミニウムとアルツハイマー病の発症機構について、「最も肝心な点に関わっている」、「アルミニウムがβアミロイドタンパクを多量体にし、神経細胞を殺す。」と、アルミニウムとの因果関係を断定していること。WHO(世界保健機構)の専門家グループが「アルツハイマー病に対して、アルミニウムが関与する証拠はない」と結論しているなど、公的機関では両者の関係を否定しております。
当協議会はこれをより正確な情報と考えております。
2. アルミニウムの調理器具における、酸性の強い食品に対する使用や長時間の保管などの注意事項を、健康問題の文脈の中で取り上げていること。
アルミ製鍋などにはこのような注意書が付いておりますが、変色や腐食防止の観点(製品を長持ちさせる)から付けることが規定されているもので、健康上の理由ではありません。
著者は知らなかったとし、自説展開のため、正確な情報を得ようともせず、思い込みをそのままを記述したものと思われます。
3. 水道水中アルミニウム濃度とアルツハイマー病の発症率の関係を調べた疫学調査結果を、確立された説として紹介していること。
当協議会は「疫学的手法に問題があり、この疫学調査によりアルミニウムとアルツハイマー病との関連性を判断することは出来ない」としている WHOの公式見解を、より正確な情報と判断しています。
4. 水道水中のアルミニウム濃度基準0.2mgについて、健康問題と絡めて紹介していること。
WHOも日本の水道法も、快適性(濁り)の観点から水道水中の基準を定めており、健康上の理由から決められている基準値ではありません。
著者はこれも知らなかったとし、自説展開のため、正確な情報を得ようともせず、思い込みを根拠に記述したものと思われます。


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