アルミニウム材料の諸特性データベース
9. 成形加工
(1)せん断加工
せん断加工は,材料にせん断荷重を加えて二つ以上に分離する加工方法です。プレスによるせん断加工は図11.1.1に示すように、打抜き、穴あけ、切断、切込み、縁切りなどに分類されます。せん断機構は図11.1.3に示すように、加工力Pと曲げモーメントに抵抗して生じる横圧力Qとのクサビ作用によって生じた上下のクラックが結合したときにせん断加工が終ります。分離面は図11.1.4のようになります。製品精度(寸法、分離面)に関しては、だれ、破断面、かえりなどが少なくてせん断面が多いことが望ましい。分離面性状に影響を及ぼす要因として、クリアランス、工具形状、材料指示条件、せん断速度、潤滑条件などがあげられますが、とくにクリアランスが大きな影響を及します(図11. 1.5)。
なお、図表の番号はアルミニウムハンドブックの番号になっています。
(2)曲げ加工
代表的な板の曲げ加工方式は,表1に示すように5種類に大別されます。
各曲げ不良の対策は,表2に示すとおりです。
(3)深絞り加工
深絞り加工では材料の中央部がポンチで押され、フランジ部が円周方向に圧縮、半径方向に引張り、ダイの肩部に接する部分では曲げ、曲げもどし加工を受けます。フランジ部は、板が座屈してしわが発生するので、適当なしわ押え力を加えてしわの発生を抑制します。しわ押え力は写真1に示すように加工成否に大きな影響を及ぼします。
100-O板の絞り比1.94の場合におけるしわ押え力の影響(板厚1mm)
加工に要する力(ポンチ力)は、上述の各力と材料と、 工具間の摩擦力の和であり、図11.3.1に示す経過を たどります。 図11.3.1において各曲線の極大値が最大ポンチ力であり、 軟質材では工程の後期に、硬質材では工程の初期に それぞれ現れます。ポンチ力は材料のポンチ頭部に接する 部分(荷重けん引部)を通して引張の力で伝えられます。 したがって、深絞り加工の成否は最大ポンチ力と荷重 けん引部の破断力との大小によって決まります。理想的な 深絞り用材料は最大ポンチ力が小さくて荷重けん引部の 破断力が大きいものです。
深絞り型の各因子が深絞り性に及ぼす影響は,表3に示すとおりです。
深絞り不良種類と対策は表4に示すとおりです。
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