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一般社団法人 日本アルミニウム協会
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アルミ箔の世界 HOME > アルミ箔こんな所で大活躍 >見えないところで活躍するアルミ箔:アルミ箔の特長を活かした防音壁-1
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見えないところで活躍するアルミ箔:アルミ箔の特長を活かした防音壁

鉄道や道路の沿線、工場などの騒音対策に施工される防音壁に、小さな孔を無数に開けたアルミ箔を用いた吸音構造を持つ新発想の製品が実用化され、注目されています。
(株)神戸製鋼所と神鋼建材工業(株)が共同開発した、アルミ微細多孔箔吸音パネル「アルミ箔エコキューオン」がそれで、優れた騒音低減効果(設置前後で6.4dB~14dBの低減効果)により、2007年度上期に本格的な製造・販売を開始して以来、順調に施工実績を積み重ねています。

従来の防音壁は、コンクリート製の遮音パネル(図1-1)や、壁の内部に繊維系材料(グラスウール、PET繊維など)の吸音材を充填した遮音・吸音パネル(図1-2)が多く使用されています。

「アルミ箔エコキューオン」は、後者の「吸音部」に繊維系の吸音材料の代わりに、小さな孔を無数に開けたアルミ箔と空気層を持つ構造体にしたことが最大の特徴です(図2)。
使用されたアルミ箔の厚さは100μm(0.1mm)程度で、孔の直径は厚さとほぼ同じということです。
音エネルギーを熱エネルギーに変換して騒音を吸収
「アルミ箔エコキューオン」の原理は、音の圧力で振動する空気が微細な孔を通過する際の摩擦と、生じる渦により、騒音の音エネルギーを熱エネルギーに変換させることで、高効率な吸音を実現する仕組みです(図3)。
孔を通過して入ってきた音を空気層内で共鳴させ、「空気の振動速度」を増幅。その開口率を小さくすることで振動速度が速くなり、より大きな摩擦や渦を発生させ、吸音効果を高めています。

神戸製鋼の説明によると、「アルミ箔エコキューオン」は、繊維系の吸音材を使用した防音壁との比較で、以下のような利点を持っています。


500ヘルツ以上の高周波域でも吸音率の低下がなく、幅広い周波数域で高い吸音性能を発揮する。(図4)


吸音性能の向上により、防音壁の高さを低くしても同等の防音効果が得られる(設置コスト削減効果)。(図5-1/2)


繊維系が水分を含みやすいのに対して、その懸念がなく、安定した吸音性と耐久性を維持できる。


リサイクル性に優れる(アルミの特性による)。


繊維系特有の吸音材の経年劣化や、保護フィルムの破損による飛散がない。

音のエネルギーを吸収する独自のシステムを構築するために、アルミ箔が最適だっただけでなく、アルミ箔の材料特性である「耐久性」「リサイクル性」「不燃性」なども、同製品に活かされています。

微細孔の加工技術が決め手に

「アルミ箔エコキューオン」の開発は、神戸製鋼が以前から鉄道車両や自動車部材向けにアルミを利用した防音技術開発を行ってきており、その中の微細多孔吸音技術の適用先として防音壁に使うアイデアが生まれたのが始まりでした。神戸製鋼が吸音性能などの音響設計を、神鋼建材が吸音パネルの商品設計と製作を担当して共同開発を進め、約3年をかけて商品化にこぎつけました。
開発過程で一番苦労したのは、アルミ箔に微細多孔を開ける加工技術だったそうで、同製品の特長の一つである「孔径」「開口率」を調整できる加工機で、連続的に正確に孔を開けられる工程を実現できたことが、実用化の決め手になりました。

製品は、規格品とユーザーニーズに対応して製作する特注品の両方があり、規格サイズには、道路騒音用に
 厚さ95mm×タテ500mm×ヨコ2000mm
 厚さ95mm×タテ500mm×ヨコ4000mm
の2種類が用意されています。(図6はその施工例)
施工については、ボルト固定や落とし込みによる一般的な取り付け方法が可能な形状であるため、特殊な施工技術は必要とせず、通常1日70~100枚程度の取り付け施工が可能とのことです。

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