佐藤さんはこれまでにも、『きのうレノンの夢を見た』『時は楽譜のように』 など、数多くの作品でアルミ箔(工芸用に特別に用意された素材)を活用しており、「アルミ箔は、日本画の素材として金箔、銀箔とともにかなり以前から使われていますが、私にとっても独自のイメージ表現に不可欠の画材です」
と語っています。 |
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『きのうレノンの夢を見た』 |
『時は楽譜のように』 |
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厚さ数マイクロメートル(μm/千分の1mm)という極薄の箔を自在に操る佐藤さんの技の一つは、昔懐かしいガリバン(謄写版)の蝋(ろう)原紙を利用すること。
約10cm角の画材用アルミ箔に、少し大き目に切った蝋紙を重ね、上から鉛筆などで数回軽くこすると、箔が静電気で蝋紙にぴたりと密着。カンバスの所定の位置に、そのままピンセットで蝋紙ごと箔を持っていって正確に貼り付けることができる、というわけです。 |
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「絵の具では出せない独特の質感が欲しいとき、私はアルミ箔などの金属箔を、ここぞというところで使っています。箔を使うことによって、作品がさっとその表情を変えることもあります。今回はアルミ箔を粉状にして蒔いたり、さらに薄く削ってみたりなど、新しい試みも取り入れてみましたが、改めてアルミ箔の面白さ、可能性を再発見しました。銀箔は時が経つと共に変色してしまいますが、アルミ箔はいつまでも輝きを失わないところも強みです。これからも、アルミ箔の輝きに負けないような作品を制作するために努力していくつもりです。」
「箔は取り扱いがそんなに難しい素材ではなく、使い方のコツさえマスターすれば誰でも簡単に使いこなせるようになります。趣味の絵画を楽しんでおられる方々に、是非試していただくことをお勧めします。」(画材店、とくに日本画用の材料を多く扱っている店で購入可能です) |
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「見る人が安らぎや癒しを感じられる、そんな絵を描き続けたい」という佐藤さんに、今後の夢をお聞きしました。
「この阿武隈の地に小さな美術館を建てたいですね。片田舎ですが、意外なところにほっとする空間があって、訪れた人にひととき寛いでもらえるような…」。 |