■消化に欠かせない酵素の役割 |
私たち人間の体内では、食べ物は口から入り、食道、胃を通って、小腸、つまり十二指腸、空腸、回腸に運ばれる。そこから大腸を通過し、吸収されなかったものは排泄される。食物繊維などは、消化酵素の影響を受けずに排泄される。
pHで見ると、口の中はだいたい中性だが、胃に入ると通常はpH1〜3に急激に変化し、胃を10cmほど出ると今度は一気にpH7強の弱アルカリ性に変化する。たとえばでんぷんの場合、まず口の中でα-アミラーゼにより分解され、リミットデキストリンやマルトトリオース、マルトースといった段階まで、一部分が消化される。次に、胃では分解されず、残りは膵臓で分解される。
主にアルコール、医薬品の一部などは胃でダイレクトに吸収されるといわれる。その他の食物は、大部分が小腸の十二指腸、空腸、回腸のいずれかに分散されて吸収されていく。鉄やカルシウムなどの金属イオンも同じである。
小腸では、膜消化といって、上皮細胞で酵素によって分解され、膜吸収される【図1】。小腸には絨毛があり、その先端からイソマルターゼ、マルターゼなどの酵素が出て、最終的に単糖に分解される。スクロース(ショ糖)の場合、絨毛の先端でスクラーゼという酵素が出て、吸収する直前にグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に分解される。グルコースはG担体と呼ばれるもので運ばれ、細胞内に入る。フルクトースは、F担体で別になっている。
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【図1】主な消化酵素とその作用 |
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